2009 Fiscal Year Annual Research Report
ブレーンワールドモデルにおける事象の地平線とその特異点の研究
Project/Area Number |
21654007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
泉屋 周一 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (80127422)
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Keywords | ブレーン / 特異点論 / 焦面 / 事象の地平線 / ブラックホール |
Research Abstract |
本研究は、宇宙論や素粒子物理学に現れる、反ド・シッター空間と呼ばれるローレンツ多様体の部分多様体の微分幾何学的性質を、特異点論を応用することによって研究することを主要な目的としている。初年度は、理論物理学における、基本的文献である、ランドール等による、5次元反ドジッター空間内における2種類のブレーン宇宙モデルを数学的にいかに解釈するかについて考察した。その結果、ランドール・サンドラムモデルにおけるブレーンは、双曲空間におけるホロ超球面に対応することが理解でき、カーチ・ランドールモデルにおけるブレーンは等距離超曲面に対応することが理解された。これらの超曲面は数学的(微分幾何学的)には、全臍的な超曲面の一種で、特異点論の応用としての微分幾何学では、全臍的超曲面は幾何学的モデルと考えることができるので、理論物理におけるモデルが数学的にもモデルと考えられる空間であることが興味深い。この事実から、一般のブレーンに対する、特異点論の応用としての微分幾何学は幾何学的モデルとの近さや違いを表わす不変量(曲率)が何らかの対応する物理的意味を持つころがわかる。次に、これらの不変量を求めるために一般の時間的超曲面で余次元1の空間的部分多様体から定まる様相構造をもつものを考えた。この葉となる空間的部分多様体は全体空間内では余次元が2なので、以前にミンコフスキー空間の場合に開発した手法がこの場合にも適用される。実際の計算等を進めて、さらには、波面の伝播理論を応用することは次年度以降の課題である。
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