2010 Fiscal Year Annual Research Report
ブレーンワールドモデルにおける事象の地平線とその特異点の研究
Project/Area Number |
21654007
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
泉屋 周一 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80127422)
|
Keywords | ブレーンワールド / ミンコフスキー時空 / 限界捕捉面 / 極小曲面 / 極大曲面 / 平均曲率一定 |
Research Abstract |
本研究は、宇宙論や素粒子物理学に現れる、反ド・シッター空間と呼ばれるローレンツ多様体の部分多様体の微分幾何学的性質を、特異点論を応用することによって研究することを主要な目的としている。平成22年度には、より単純な場合で、特殊相対性理論の舞台である一般次元のミンコフスキー時空内の空間的部分多様体の不変量の構成とその幾何学的意味付けの研究を推進した。反ド・シッター空間を考えるかわりにミンコフスキー時空を考えると、因果律が単純なために、より詳しい構造が理解可能となる。以前からの代表者の研究で、ミンコフスキー時空内の空間的部分多様体で余次元2の場合がユークリッド空間内の超曲面の理論に対応することが理解され、その場合の微分幾何学的不変量の構成と幾何学的意味付けが得られている。ブレーンワールドモデルにおけるブレーンの最も単純な場合である、世界超ブレーンとよばれる時間的超曲面が重要であるが、より詳しい構造として、その中の空間的な余次元1の葉層構造が付随する。この場合、各葉は全体空間の中で、余次元2となるので、現在までに得られた成果が応用可能となる。このような観点から、余次元2の空間的部分多様体の理論を精査した結果思いがけず、限界捕捉面と言う概念に到達した。この概念は、ペンローズが一般的な時空内における時空の特異点の存在定理において主要な役割を担うものである。今回、この限界捕捉面の新たな解釈を与えた。その結果、この概念が、極小曲面、極大曲面、双曲空間内の平均曲率一定曲面等を統一的に扱えることの理由付けを与える事ができた。
|
Research Products
(5 results)