2011 Fiscal Year Annual Research Report
ブレーンワールドモデルにおける事象の地平線とその特異点の研究
Project/Area Number |
21654007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
泉屋 周一 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80127422)
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Keywords | ブレーン宇宙論 / 反ド・ジッター空間 / ミンコフスキー空間 / 世界膜 / 光的タイト部分多様体 / 限界捕捉面 |
Research Abstract |
本研究は、宇宙論や素粒子物理学に現れる、反ド・ジッター空間と呼ばれるローレンツ多様体の部分多様体の微分幾何学的性質を、特異点論を応用することによって研究することを主要な目的としている。平成23年度は前年度の続きとして、より単純な場合であり、特殊相対性理論の舞台である一般的次元のミンコフスキー空間内の空間的部分多様体のローレンツ不変量の構成やその微分幾何学的性質についての研究を推進した。以前からの代表者の研究で、ミンコフスキー空間内の余次元が2の場合がユークリッド空間内の超曲面の場合に対応していて、幾何学的性質もよりよくわかることが認識されてきた。しかし、宇宙論や素粒子物理学に現れるブレーンは一般に余次元が高いものも現れるため、一般余次元の空間的部分多様体の研究が必要となる。ブレーン宇宙論では、世界膜と呼ばれる時間的部分多様体を考えるが、より詳しい構造として、数学的にはその中の空間的な次元が1だけ下がる(世界膜内の余次元1)空間的部分多様体を葉として持つ葉層構造を考える必要がある。ここでは、その前段階として,一般余次元の空間的部分多様体の局所不変量とその大域的性質の研究を推進した。その結果、ローレンツ多様体独特の性質として、光的タイト部分多様体という概念を導入した。光的タイト部分多様体はユークリッド空間の場合の古典的なタイト部分多様体や双曲空間内のホロタイト部分多様体を特別な場合としてもつもので、これらの概念を統一的に扱う概念である。また前年度から継続して研究している、4次元ミンコフスキー空間内の限界捕捉面がグラフ型の場合に満たす偏微分方程式の記述に成功した。
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Research Products
(5 results)