2010 Fiscal Year Annual Research Report
曲線のモジュライ空間における標準的ブラウン運動の構成とその確率解析的研究の例示
Project/Area Number |
21654022
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
盛田 健彦 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00192782)
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Keywords | タイヒミュラー空間 / ブラウン運動 / 生成作用素 / ディリクレ形式 / 確率解析 |
Research Abstract |
次の(1)~(5)の拡散過程構成法を再検討し、得られた拡散過程の大域挙動を比較することを目標としていた。(1)タイヒミュラー計量から自然な方法で定まる'ほとんどいたるところ'連続な係数をもつ拡散生成作用素に対応する拡散過程。(2)(1)の作用素から形式的な計算で導き出された対称形式に対応する拡散過程。(3)タイヒミュラー距離から出発して(Sturmの手法によって飛躍過程のディリクレ形式のΓ極限として得られる局所的なディリクレ形式に対応する拡散過程。(4)(3)の方法を確率過程の収束の枠組みで議論することによる構成法。(5)調和関数の平均値の定理を念頭において漸近的平均値によるラプラス作用素を定義する。 (1)、(2)の構成法による拡散過程の同一性については比較的容易に検証が終わったが、それらと(3)の拡散過程との同一性を厳密に検証するには至ってはいない。(4)のDonskerの不変原理に対応する構成法と、(5)の球面平均性と関連した構成法については証明に不十分な点ががあり、これを解消するということに関しては、技術的な手法の適用手順を明らかにした。 これらの研究を遂行する過程において得られた副産物として、コンパクト多様体上の拡大的写像の最大化測度の-意性やエントロピーに関する結果と、葉層空間の調和測度と各葉ブラウン運動の滞在時間に関するある種の不変原理がある。前者は徳永裕介氏との共同研究であり、連名で'2010年9月に開催された日本数学会秋季総合分科会の一般講演として発表した。後者については論文にまとめる予定である。
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Research Products
(1 results)