2009 Fiscal Year Annual Research Report
位相制御パルス光によるチラコイド膜中光合成活性律速因子の解明
Project/Area Number |
21654040
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
三沢 和彦 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (80251396)
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Keywords | 位相制御パルス / チラコイド膜 / 光合成活性 / 酸素濃度測定 / 可視域光パルス |
Research Abstract |
今日直面しているエネルギー枯渇や二酸化炭素排出といった問題を解決するブレークスルーとなりうるのが、自然界の光合成反応系を工学的にモデル化した「人工光合成系」である。本研究では、フェムト秒波形整形パルスによるフラッシュ励起と非破壊酸素濃度計による電子伝達測定を組み合わせることにより、チラコイド膜内でエネルギー移動を律速している条件を明らかにする全く新しい方法を開発した。具体的には以下のような成果を得た。 (1)チラコイド膜の分離精製:本学農学部園芸学研究室のアドバイスをもとに、チラコイド膜の分離精製を行った。 (2)レーザー照射型酸素濃度測定チャンバーの製作:外気の酸素から隔離された試料分散液内に非破壊酸素濃度計のプローブを挿入して、光照射に伴う酸素発生量を測定することのできる装置を製作した。光合成活性が保持されているチラコイド膜分散液試料に光を照射し、光合成によって発生した酸素の分圧の光照射時間依存性を測定した。比較対象として、ホウレンソウ個体を対象に同様の測定を行った。その結果、ホウレンソウ個体では、光合成による酸素発生量を測定でき、この装置が正常に動作することが確認できた。一方、チラコイド膜では、安定した酸素発生が検出できなかった。 (3)クロロフィル分光用可視パルス光の生成:チタンサファイアレーザーの出力波長750~850nmを、フォトニック結晶ファイバモジュールにより波長変換して、クロロフィルの光吸収帯の波長ピーク640~680nmを直接励起できる可視光を発生させた。しかしながら、前項の酸素発生実験には、まだ十分な光量が得られていないことがわかった。
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