2011 Fiscal Year Annual Research Report
動摩擦エネルギー散逸顕微鏡の開発によるナノトライボロジー研究
Project/Area Number |
21654041
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
三浦 浩治 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50190583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 勝 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (20196869)
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Keywords | 動摩擦 / エネルギー / AFM / QCM / ナノすべり / トムリンソンモデル |
Research Abstract |
現在、ミクロスケールの視点から摩擦現象のメカニズムの解明を目指すナノトライボロジーが発展し、新しい知見に基づく摩擦の軽減・潤滑の開発に大きな貢献をすると期待されている。固体-固体間のエネルギー散逸は、見かけの接触面で一様に起こることはなく、ナノスケール領域での固体間距離(または荷重)と物性に依存し、どこで、どのように起こるかを答えなければならない。そのためにはナノスケールの分解能を持って直接にエネルギー散逸を測定することが必要となる。本研究の目的は、動摩擦によるエネルギー散逸を直接測定できるエネルギー散逸顕微鏡を開発し、ナノスケール領域での摩擦の性質を明らかにすることである。 前年度までに原子間力顕微鏡(AFM)と水晶マイクロバランス(QCM)を組み合わせることで、ナノスケール領域ですべり距離を制御しながら動摩擦力のエネルギー散逸を測定できるシステムが完成した。平成23年度は、AFM探針の荷重とすべり距離を制御して、室温・大気圧下においてグラファイト基板とC60蒸着膜とAFM探針間の動摩擦力を測定した。動摩擦力はグラファイト基板とC60蒸着膜の両方ともに、すべり距離が格子定数より小さいときはすべり距離に比例し、大きいときは一定となる振舞いをすることが明らかになった。この振舞は、すべり距離が小さいときには探針が基板のポテンシャル障壁を越えないこと、一方、大きいときにはエネルギー散逸は探針が乗り越える基板のポテンシャル障壁の数に比例することから説明される。
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