2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21654045
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野尻 浩之 Tohoku University, 金属材料研究所, 教授 (80189399)
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Keywords | 中性子 / 強磁場 / 金属 / 極端条件 / 計測科学 |
Research Abstract |
本研究では、中性子が透過する透明パルス磁石を開発し、散乱角の制限のない全方位強磁場中性子散乱を実現することで、40テスラ超強磁場下における非弾性散乱というブレークスルーを可能にする基盤技術の確立を目指している。平成21年度は、中性子吸収が少なくかつ高強度のパルス磁石用線材の素材の開発を行った。中性子用原子炉が予定外の長期休止になり、実験による透過度の検証は出来なかったものの、これまで知られている元素毎の吸収断面積等を用いて、コイルの設計を行った。具体的には、透明度を高めるためにコイルを外形20-40mm程度の薄肉ミニコイルとした場合の強度の評価、材料としてのNbをフィラメント状に配置した高強度線、A1-ステンレス(SUS)のチューブ補強線材等の,強度の評価と吸収率の計算を様々な形状に対して実施した。その結果、内層と外層の比率を概ね1:1にすることで、吸収強度と電磁力に対する耐性を実用的な水準に保てることが明らかになった。第2段階として、冷却効率を高めるための、設計と摸擬コイルによる試験を実施した。この試験では、液体窒素層との接触面積を小さくしながら、冷却効率を確保するために、チャンネル方式などを検討し、冷却率向上効果を確認することが出来た。その一方で、チャンネルによる強度の低下に関しては、今後の検討課題として残されている。さらに、摸擬コイルを用いて磁場発生試験を行い、薄肉のコイルでも磁場発生に支障がないことを確認した。これらの結果により、透明パルス磁石の基礎設計を行うことが出来、平成22年度に透過度等を実測するための基盤を整えることが出来た。
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Research Products
(2 results)