2011 Fiscal Year Annual Research Report
コルビノディスク型温度勾配を用いた角度分解熱電能測定による強相関電子系の研究
Project/Area Number |
21654048
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
谷口 弘三 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (50323374)
|
Keywords | 有機物 / 熱電能 / 角度依存性 |
Research Abstract |
高温超伝導体や有機超伝導体は擬二次元電子系として知られる。この二次元性は超伝導発現に重要な役割を演じていると考えられている。さらに、二次元面内に目を向けても、物性は等方的ではなく、面内異方性がある。この異方性についても磁気揺らぎや、フェルミ面の異方性などと関連があり、重要な問題である。したがって、物理量の異方性を決定すれば、対象としている物理現象のメカニズムに迫れる可能性がある。以上の要求から、本研究では、熱電能の面内異方性測定という新たな角度分解測定手法を提案した。この手法では、円柱座標における動径方向に温度勾配を発生させ、動径方向に生じた熱起電力を決定する。このことにより、熱電能の角度依存性が準連続的に抽出できるわけである。 この年度では、熱電能の特徴的な面内異方性を示す□-(BEDT-TTF)2Cu[N(CN)2]Brにこの手法を適用した。この物質は方向によって、キャリアーの種類が電子からホールに変化するために、熱電能の大きな異方性を示す。本研究においては、この異方性を準連続的に測定することに成功した。また、室温と低温(窒素温度)で測定を行ったが、どちらもほぼ同一の異方性を観測することに成功した。
|