2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21654058
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川端 和重 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (20261274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 武臣 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 助教 (40451405)
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Keywords | 細胞運動 / 走査型プローブ顕微鏡 / 細胞骨格 / アクチン繊維 / モータータンパク / ダイナミクス |
Research Abstract |
細胞内における物質輸送は、細胞の巨視的な活動(形態形成や運動など)を考える上で重要な現象である。細胞骨格をレールとする方向性のある輸送は、非常に微量にしか生産されないタンパク質を遠隔の目的地に運ぶために必須の方法である。現在知られているものの大半は細胞骨格として微小管を用いたものである。他方、走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて、生きた細胞を我々は、既存装置の約500倍の高速(測定時間:数sec/frame)で測定できる生体高速SPM測定法を開発した。この装置を用いて、生きた細胞の骨格形成のダイナミクスを測定した。 その結果、ストレスファイバーが形成されていないとき、細胞表面で数百nm径の硬い顆粒が多数の生成し、その多くは数十nm/secの速度で一方向に運動をした。その後、ストレスファイバーが形成されると、顆粒は消滅した。この結果は、顆粒の生成消滅がストレスファイバーの形成に関与していることを示唆する。免疫蛍光染色法によって組成を調べると、顆粒がアクチン繊維(F-actin)からなっていることがわかった。アクチン線維を破壊する薬剤(サイトカラシンD)やモータータンパク質であるミオシンIIを阻害する薬剤(ブレビスタチン)の投与で、顆粒の運動速度が著しく低下した。基盤との接着斑を構成する細胞内タンパク質(ビンキュリン)と顆粒の会布を比較した結果、両者の分布に相関があった。これらの結果は、顆粒が重合したアクチン繊維から成り、従来、細胞骨格繊維の形成はトレッドミル等によってGアクチン分子によって形成がなされていると考えられていたが、それとは異なる方法である。また、顆粒はモータータンパクによってアクチンネットワークを用いて運動し、接着斑を介して細胞外基盤と相互作用することを示唆する。
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