2009 Fiscal Year Annual Research Report
ガラスの動的不均一性の温度変調X線回折法による直接検証
Project/Area Number |
21654059
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
猿山 靖夫 Kyoto Institute of Technology, 工芸科学研究科, 教授 (50162532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八尾 晴彦 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (60212271)
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Keywords | 物性実験 / ガラス転移 / 動的不均一性 / 温度変調X線回折 / X線小角散乱 |
Research Abstract |
本研究の実験技術である温度変調X線回折用の試料セルを試作し、2009年11月に高エネルギー研究所のフォトンファクトリーで性能評価を行った。性能評価のため、ポリエチレンオキシド結晶の融点直下におけるアニーリングの測定を実施した。温度変調のテストとして、試料に取り付けたヒーターに周期10秒程度の交流電流を流し、それに伴う温度変化を測定した。測定された変調振幅は0.5K程度であり、設計通りの性能が得られた。この温度変調から試料の熱容量の情報が得られた。アニーリング中に、ラメラ結晶による小角散乱ピークの小角側への移動と、熱容量の減少が同時測定され、開発装置で温度変調およびX線回折が計画通りに可能であることが確認された。試料全体を覆っている、温度変調用のアルミニウムヒーターが、小角散乱には影響を与えないことも明らかになった。 しかしながら、試料のセルへの取り付けに問題があり、試料交換に時間がかかるという問題点も明らかになったため、010年2月に、改良を加えた試料セルを用いて同じくフォトンファクトリーで実験を行った。基本性能は維持したままで試料交換が容易になり、実験の信頼性と能率が向上した。本研究の目的であるガラス転移の動的不均一性について、ポリスチレンを試料として試行的実験を行った。得られた結果からは、特徴的な振る舞いを見出すことはできなかったが、小角領域の散乱の立ち上がりが、信号のS/N比の障害となっていることが分かった。このため、試料の作成条件を最適化する作業を現在進めており、5月にフォトンファクトリー。6月,7月にはSPring-8で測定を行う予定である。
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