2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウスの左右を決めるノード流は繊毛の協同性から生じるか?
Project/Area Number |
21654060
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高松 敦子 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20322670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 博司 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00208589)
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Keywords | ノード流 / 繊毛 / 協同性 / 結合振動子系 |
Research Abstract |
マウスの発生過程において左右差を初めて決めるメカニズムには、発生初期過程に現れるノードと呼ばれる窪みに並ぶ繊毛の回転運動が大きな役割を果たしていると考えられている。繊毛の回転運動によって、ノード流という体液の流れが生じるが、この流れを人工的に反転させるとマウスの左右も反転するという実験によって、流れ自体が、左右差を決定する2次的シグナルを生成することが示唆されてきた。ゾウリムシ表面のなどに通常良く見られる繊毛では、繊毛間の距離が非常に小さいため、繊毛同士協同的に運動することで効率的な全体の運動を生成することが良く知られている。一方、ノード繊毛は、1細胞に1本ずつという非常にまばらに生えている特殊な繊毛であり協同的な振る舞いは期待されていなかった。本研究では、ノード繊毛間の回転運動を調べ、協同性の有無を検証し、まばらで本数も少ないノード繊毛からどのようにして大局的な流れが生成されるのか、そのメカニズムを明らかにすることが目的である。 前年度までに,左右差が決まる発生の各ステージで10-50繊毛の回転運動の協同性について解析を行,協同性は初期の過程で高く流速が大きくなる後期課程では低くなることがわかった.H22年度は,協同性が生じるしくみを明らかにするために,繊毛が生える本数が劇的に少ないミュータントマウスなどを用いて,2本~5,6本のみのノードの繊毛回転運動を観察した.H21に考察した結合振動子のトイ・モデルに流体力学的な考察をさらに加え,より現実的な数理モデルを構築し,上述の少数の繊毛間の協同性解析との結果と比較した.理論考察により,繊毛間には生物学的な結合(キャップジャンクションや分子シグナル)というよりは,流体による結合が存在し,それによって生じる協同的振舞いが何らかの形で初期のステージの小さい流をサポートし,より確実な左右差形成に寄与していることが示唆された.
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Research Products
(1 results)