2009 Fiscal Year Annual Research Report
放射性炭素を用いたコンクリート劣化の定量的解析手法の構築に向けて
Project/Area Number |
21654070
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
南 雅代 名古屋大学, 年代測定総合研究センター, 准教授 (90324392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 英一 名古屋大学, 博物館, 教授 (30324403)
淺原 良浩 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教 (10281065)
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Keywords | コンクリート / 中性化 / 放射性炭素 / SXAM / ナチュラルアナログ / 石灰質砂岩 |
Research Abstract |
本年度は、実構造物コンクリート内における中性化様相の大まかな把握、中性化に伴う^<14>C濃度変化の確認など、基礎データの蓄積に重点を置いた。一方、ナチュラルアナログ研究として、宮城県の南三陸町歌津海岸に露出する石灰質砂岩試料の分析も行ない、長期間の風化による組織変化、^<14>C濃度変化も調べた。 1.名古屋大学内の耐震改修が行われた建造物(理学部E館)の屋上の庇、および1階廊下の屋内の壁からコンクリートコア試料を採集し、薄片を作成して、走査型X線分析顕微鏡により、中性化領域のCa、Fe、Mn等の元素イメージングを行った。しかし、元素濃度変化は、フェノールフタレイン試薬によって確認された中性化様相とはあまり相関せず、コア切断時ならびに薄片作成時に新たな中性化が生じた可能性が考えられた。 2.コンクリートコアならびに石灰質砂岩試料は、表面から深部方向に垂直に5~10mm厚さにスライスした後、それぞれ粉砕し、炭素含有量および^<14>C濃度を調べた。その結果、コンクリート表層部では、中性化に伴い炭素含有量・^<14>C濃度ともに増加していることがわかった。この結果から、大気CO_2との反応によってもたらされる中性化の速度の指標として、^<14>C濃度が有効である可能性が示唆された。しかし、^<14>C濃度をほとんど含まないと予想していたコンクリート深度の^<14>C濃度は予想より高く、この深部に含まれるCO_2の起源を明らかにすることが、^<14>Cを用いたコンクリート劣化の定量的解析のために必要不可欠であることがわかった。 3.石灰質砂岩試料においては、風化断面においてCaの溶脱、Fe、Mnの付加が生じていることが確認できた。また、風化によるCaCO_3成分の溶脱により、表層部において炭素含有量が減っていたが、最表面部においては、炭素含有量がわずかに増加し、^<14>C濃度も高くなるなど、大気CO_2による影響が見られた。
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Research Products
(5 results)