2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21654072
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
井尻 暁 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 海洋・極限環境生物圏領域, ポストドクトラル研究員 (70374212)
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Keywords | 珪質プランクトン / 酸素同位体比 / 極微小量 |
Research Abstract |
21年度は,作成済みの高周波誘導高温炭素還元炉から,生成した一酸化炭素(CO)を質量分析計への誘導するラインを作成し,従来の手法と比べ高精度・高感度・簡便・安全な分析手法を確立した。 分析ライン作成直後は高いCOブランク,ベースラインの不安定などの問題で,測定精度が悪く(>1‰),感度も悪かった(必要試料量1mg以上)が,ライン,炭素還元炉,質量分析計の条件全てを再検討し,最終的には,最小必要試料量を80μgまで落とし,測定精度も<0.2‰にまで改善した。一試料あたりの測定時間は50分である。この結果,従来の分析手法の1/10以下の試料量で,測定精度を落とすことなく短時間で珪質プランクトンの酸素同位体比分析を行うことが可能となった。この手法を用いることで,世界で初めて放散虫の酸素同位体比の測定を行った(海底堆積物中の放散虫の産出数は少なく,これまでにその珪質殻の酸素同位体比の分析例はなかった)。 従来から珪藻の酸素同位体比は分析されているが,粘土鉱物など他の酸素源との分離が難しく,その分析結果には疑問がもたれることも多かった。放散虫は一個体ずつ拾い出すことが可能で,粘土鉱物との分離が珪藻に比べて非常に簡単である。さらに放散虫の生息深度は海洋表層から中層まで幅広く,本研究で可能となった放散虫の酸素同位体分析は古海洋環境復元研究の大きなブレイクスルーとなると期待される。
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Research Products
(1 results)