2009 Fiscal Year Annual Research Report
金星表層を模擬した高温超臨界二酸化炭素中でのパイライト分解実験
Project/Area Number |
21654076
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橘 省吾 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 助教 (50361564)
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Keywords | 金星 / パイライト / 分解 / 反応速度 / 気候 / 超臨界流体 / 二酸化炭素 / ピロータイト |
Research Abstract |
金星環境を地球と対比しながら理解することは比較惑星学上の重要なテーマである.しかし,金星研究は鉱物学・岩石学・地球化学的探査の困難さもあって,これまでは限られた探査データに基づいた理論的研究が先行し,金星環境の安定性や表層物質循環を論じるための重要な化学反応であるパイライトの分解速度データとして,10年以上前に金星環境とはかけ離れた条件下で求められた実験データ(Fegley et al.,1995)がほぼ無批判に使用されてきた.本研究では,高温超臨界二酸化炭素中で金星表層を再現したパイライト分解実験をおこない,高温超臨界二酸化炭素によるパイライトの分解速度,分解メカニズムを求めることを目的とする.また,結果に基づき,金星表層環境でのパイライトの安定性を明らかにし,金星気候モデルに応用することをめざす. 当該年度は,パイライト分解に関して,1気圧での予備実験を系統的におこなった.特に金星表層での酸化還元状態が不明なこともあり,酸素の存在が反応速度や反応メカニズムにどのような影響を与えるかを重点的に調べた.結果,金星表層で予想されるよりも酸化的な環境においては,酸素によるパイライトの分解反応が反応速度を支配することがわかったが,金星表層で推定される酸化還元条件では,反応に対する酸素の影響は大きくないことが明らかとなった.これらの予備実験の結果を踏まえ,高温超臨界環境での実験系の立ち上げをおこなった.
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] MELOSの目指す火星表層科学探査2009
Author(s)
杉田精司, 宮本英昭, 橘省吾, 岡田達明, 出村裕英, 大森聡一, 並木則行, 高橋幸弘, 三浦弥生, 長尾敬介, 三河内岳, 佐藤毅彦
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Journal Title
遊星人(日本惑星科学会学会誌) 18
Pages: 79-83
Peer Reviewed
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[Journal Article] MELOSが挑む「火星大気散逸・大気進化科学」2009
Author(s)
寺田直樹, 松岡彩子, 関華奈子, 山崎敦, 二穴喜文, 横田勝一郎, 斎藤義文, 中川広務, 笠羽康正, 橘省吾, 尾川順子, 佐藤毅彦, MELOSワーキンググループ
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Journal Title
遊星人(日本惑星科学会学会誌) 18
Pages: 73-75
Peer Reviewed
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[Journal Article] 高出力レーザーを使った弾丸飛翔体加速および衝突実験:秒速10kmを越える衝突2009
Author(s)
門野敏彦, 重森啓介, 境家達弘, 弘中陽一郎, 佐野孝好, 大谷一人, 藤原隆史, 持山智浩, 藤岡慎介, 黒澤耕介, 城下明之, 宮西宏併, 尾崎典雅, 児玉了祐, 関根康人, 杉田精司, 松井孝典, 橘省吾, 大野宗祐, 荒川政彦, 竹内拓, 中村昭子
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Journal Title
遊星人(日本惑星科学会学会誌) 18
Pages: 4-9
Peer Reviewed
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