2011 Fiscal Year Annual Research Report
ランタニド四組効果:ヨルゲンセン理論の拡張とその新展開
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21654081
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川邊 岩夫 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (40127890)
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Keywords | 希土類元素 / 四組効果 / ヨルゲンセン-川邊式 / REE分配係数 / 希土類元素鉱物 |
Research Abstract |
1.BaSO_4/水溶液系におけるREE分配係数に関する実験的研究: BaSO_4/水溶液系におけるREE分配係数の温度変化(10~200℃)から,固相REE^<3+>の結合状態変化と分配反応ΔH_r,とΔS_rの四組効果について重要な結論が得られたREE^<3+>を含むBaCl_2とNa_2SO_4の混合溶液(pH=2)からBaSO_4の沈殿物を得た.そして,K_d=[X(REE)/X(Ba)]_<BaSO4>/[m(REE)/m(Ba)]_<so1.>としてREE分配係数Kdを求めた.K_dはREE^<3+>(aq)+Na+(aq)+2BaSO_4(s)=(REE,Na)(SO_4)_2(s)+2Ba^<2+>(aq)の反応の平衡定数Kにほぼ比例する.60℃以下の全てのlogK_dパターンはGd付近で折れ曲がり,75℃以上ではこの「折れ曲がり」は消失,LREE上りの滑らかなパターンとなる.logK_dパターン変化は,REE^<3+>(aq)系列水和状態変化の補正より鮮明になる.logKdの「折れ曲がり消失」が"相転移"に対応する.上記反応のΔH_rを,lnK=(-ΔH_r/R)/T+ΔS_r/Rを仮定して温度区間毎に求めた.10-40℃ではΔH_r>0,75-150℃ではΔH_r<0のほぼ一定値が各REEで得られただし,転移点近傍の40-75℃では不規則値となる.10-40℃のΔH_r系列変化では,LREEが「上に凸な四組効果」を示すが,HREEでは一定である.固相REE^<3+>のRacah parametersは,LREEでREE^<3+>(oct,aq)より大きく,HREEで両者はほぼ等しい.固相REE^<3+>の配位状態はGd付近で変化する.一方,75-100℃でのΔH_r系列変化はLa-NdとSm-Lu-の2系列で不連続だが,各系列変化は直線的である.100-150℃ではSm-Luは小さな「上に凸な四組効果」を示し,150-200℃では全系列にわたって「上に凸な四組効果」が現れる.固相の熱膨張によるRacah parametersの増大が考えられる.ΔS_rでもΔH_rと相似な四組効果を確認した. 2.ヨルゲンセン-川邊式で表現出来る希土類元素鉱物のREE存在度パターン: 希土類元素鉱物(木村石とランタン石)が示すREE存在度パターンは,四組効果の理論式であるヨルゲンセン-川邊式で,ほぼ無条件に定量的に表現出来ることが判った.希土類元素が主成分である鉱物でこの事実が確認できたのは世界で初めてである.ヨルゲンセン-川邊式の意義が更に明確になった.
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Research Products
(2 results)