2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21655001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武田 定 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00155011)
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Keywords | 結晶内プロトンポンプ / プロトン伝導 / ラチェット機構 / 固体NMR / 誘電特性 |
Research Abstract |
1.昨年度までに、プロトン伝導度がNafionに匹敵することを見いだした非対称な一次元結晶チャンネルにNH_4+イオンとH_2O分子が一次元に配列した錯体(NH_4)_2[Fe(III)_2(ox)_2(μ-0)H_2O]nについて、さらに詳細な測定を行ったところ、交流伝導度を連続して繰り返し測定すると、その値がどんどん小さくなっていくことを新たに見いだした。この傾向は交流伝導度測定時の印可交流電圧が大きいほど(~2V)顕著であり、印可電圧を小さくすると(~0.01V)目立たなくなる。これはまさに、本挑戦的萌芽研究で目指した室温近傍における非対称な一次元結晶チャンネルにおける微弱外場変調によるプロトンポンプが実現していることを示すと考えている。つまり、微弱交流電場を印可することによって、非対称な一次元結晶チャンネルの両方の向きに同等にプロトンが移動するのではなく、連続した繰り返し測定により一方にプロトンがたまってくるため、見かけ上、交流伝導度が小さくなってくると考えている。 2.アンモニウムイオンの代わりにリチウムイオンLi+を置換した同型の結晶においては、さらに伝導度が高く、外場の相対湿度依存性などはアンモニウム塩と同様な傾向を示すことも新たに見いだした。 3.これらの結果はインパクトのある研究成果であり、次の研究ステップへの大きな道を開いたと考えている。さらに、単結晶を用いた確固たる検証実験を行った後に、インパクトのある学術論文誌に、成果発表を行う。それまでは伏せておく予定である。
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