2009 Fiscal Year Annual Research Report
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21655012
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
斎藤 雅一 Saitama University, 理工学研究科, 教授 (80291293)
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Keywords | σ芳香族性 / ヘキサキス(アリールセレノ)ベンゼン / 酸化反応 / ジカチオン / 1,2-ビス(フェニルセレノ)ベンゼン |
Research Abstract |
最近、6つのアルキルチオ、アリールチオ基を有するベンゼンのジカチオン種がσ芳香族性を有しているのではないかとの提案がされ、σ芳香族性を有する有機化合物の合成研究が注目され始めている。一方、硫黄原子をセレン原子に置き換えたヘキサキス(アリールセレノ)ベンゼンについては、合成は知られているものの、その反応性に関してはほとんど報告されていない。そこで我々はヘキサキス(アリールセレノ)ベンゼンジカチオンの合成を目指し、以前に我々が報告した方法を用いてヘキサキス(フェニルセレノ)ベンゼンを合成し、その酸化反応を検討した。 ジクロロメタン中、ヘキサキス(フェニルセレノ)ベンゼンに2.2当量のニトロシルヘキサフルオロアンチモナートを作用させると、反応溶液は黄色から深緑色へと変化した。その反応混合物のNMRを測定したところ、原料の消失を確認したが、これを水で処理すると、ヘキサキス(フェニルセレノ)ベンゼンが回収された。報告されているこれまでのジカルコゲニドジカチオンの挙動を参考に、現在、反応の中間にヘキサキス(フェニルセレノ)ベンゼンジカチオンが生成したと考えている。 また、ヘキサキス(フェニルセレノ)ベンゼンに1.2当量の臭素を作用させ、続いてトリフルオロメタンスルホン酸銀を作用させると、反応溶液は深緑色に変化した。このことから反応の中間にジブロモ体が生成し、これがトリフルオロメタンスルホン酸銀と反応してヘキサキス(フェニルセレノ)ベンゼンジカチオンが生成したと考えている。 さらに、対照化合物として1,2-ビス(フェニルセレノ)ベンゼンの酸化も検討し、対応するジカチオン種の生成を示唆する結果を得た。
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