2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21655020
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
持田 智行 神戸大学, 理学研究科, 教授 (30280580)
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Keywords | イオン液体 / 触媒 / 有機金属 |
Research Abstract |
本研究では、私達が開発したイオン液体の合成法を適用して、反応試薬・触媒として有用な有機金属系イオン液体の開発を試みることを目的としている。こうした試みにより、従来にない"液体触媒"の概念の実現を目指している。 本年度は第一に、化学反応性に富むハーフメタロセニウムカチオンを数種類合成し、そのイオン液体化を試みた。適切な配位子を選ぶことで、良好な安定性を持つイオン液体が実現した。それらの比較から、配位子の種類、アルキル鎖長、水素結合の有無、シクロペンタジエニル環のペンタメチル化が融点に及ぼす影響を明らかにした。これより、液体化に好適な分子設計の指針が得られた。また、この系に配位子変換反応を適用することにより、化学反応を起こす液体が実現し、雰囲気制御によって固体へと性状変化を起こす液体が見出された。第二に、触媒としての有用性が期待されるルテニウム系のハーフメタロセンのイオン液体化を試みたが、この系はかさ高いホスフィン系置換基を有しているために、低融点化は難しいことがわかった。第三に、同じく触媒能を持ちうるビスオキサゾリン系錯体の液体化を試みた。その結果、この系が概して液体を与えやすい優れた分子系であることを見出した。一方で、これらの物質系が熱的不安定性や精製の困難さを伴うことが明らかとなった。これらの点は、物性評価の上で解決すべき問題点である。以上のように、化学反応あるいは触媒能を持ちうるイオン液体系を開拓し、分子系の設計指針が得られた。
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