2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21655020
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
持田 智行 神戸大学, 理学研究科, 教授 (30280580)
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Keywords | イオン液体 / 触媒 / 有機金属 |
Research Abstract |
本研究では、触媒としての有用性が期待される有機金属類のイオン液体化を実現した。さらに、その特異な分離・触媒能を予備的に実証した。 私達はこれまでに、有機金属系イオン液体の合成指針を確立してきた。その基盤に立ち、ここでは反応試薬・触媒として有用な有機金属系イオン液体の開発を進めた。これは、高密度液体触媒の実現に向けた挑戦的アプローチである。今年度は第一に、ルテニウム系のハーフメタロセンのイオン液体化を検討した。前年度の検討により、この系は、一般的に用いられているビピリジン系やホスフィン系の配位子を用いた場合には、液体化が非常に困難であることが判明している。そこで今年度は、改めて分子設計を見直し、サイズの小さい非対称配位子を探索することで、系の液体化を実現した。さらに、イオン液体状態のままで、十分な触媒能を発現することを予備的に実証した。 本研究ではあわせて、同じく触媒能を持ちうるビスオキサゾリン系錯体の液体化の試みを継続した。これらの物質系は、熱的不安定性や精製の困難さを伴うことが前年に判明しているが、一部の塩について精製法を確立した。このことで物性評価が可能となり、これらの塩における分子形状(サイズ、キラリティー、アルキル鎖長)と融点の相関を評価することができた。この系に関しても触媒能の検討を行い、分離能に優れたイオン液体触媒が実現することを見出した。 以上のように本研究では、液体触媒としての展開が有望な、金属錯体系イオン液体を実現した。
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Research Products
(4 results)