2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21655021
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒田 泰重 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40116455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 久芳 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (40128690)
湯村 尚史 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (80452374)
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Keywords | Cu^+-Xe結合 / CuMFI / XAFS / 吸着熱 / Xe-NMR |
Research Abstract |
キセノン(Xe)は18属元素の希ガスに分類され,一般には反応性に乏しいと認識されている.特に,それが金属や金属イオンと直接の強い結合を有する化合物はほとんど知られていない.我々は,Xeが銅イオン交換MFI型ゼオライト(CuMFIと略記)中に形成されたCu^+と特異的に相互作用するという不思議な現象を見いだした.本研究では,CuMFIなどの金属イオン交換ゼオライトをナノリアクションポットとして利用することによって,その反応容器中における交換イオンとキセノンとの化合物についてそれらの構造・電子状態などの特性を解明し,これまでにない全く新しいXeと金属または金属イオンのとの結合を通して,新しいXeの無機化学を開拓することを目的としている. 今回,ゼオライトのサブナノメーターサイズの空間内に銅イオンをイオン交換させた試料を用いることによって,室温でさえ,XeとCu^+との化合物が形成されるという不思議な現象を解析した.Cu^+-Xeの結合状態に関して,高エネルギー加速器研究機構のシンクロトロン放射光を利用したX線吸収微細構造解析により,直接の構造解析に世界で初めて成功した。Cu^+-Xe間の結合距離は0.25nm(位相シフト補正後)と求まった.Xeのファン・デル・ワールス半径やCu^+のイオン半径を考慮すると,0.25nmという結合距離は大変短く,Cu^+-Xe間に化学結合の存在を示す.また,吸着エネルギーとして得たCu^+-Xe間の結合エネルギーの値は60kJ/molとわかった.これらのデータは世界で初めて実験的に求まった値であり,ゼオライトなどのナノリアクションポットを特異反応場として利用したXe-金属イオン化合物の初めての実験研究である.これらの結果を計算化学的手法を用いることによって実証した.さらに,本研究結果を利用し,キセノンの分離・回収法としてのCuMFI利用について,実用面からのアプローチも行った.
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