2009 Fiscal Year Annual Research Report
固相-固相界面溶融解相の形成と化学反応場としての利用
Project/Area Number |
21655031
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
服部 徹太郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70241536)
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Keywords | エピ化晶出 / 無溶媒反応 / 光学分割 / 誘電率 / 分子会合 / 誘電率制御分割 |
Research Abstract |
1.α-アミノニトリルの無溶媒エピ化晶出における溶媒蒸気の効果の検討 (1S,2R)-1-アミノインダン-2-オールと種々のアルデヒドとのStrecker反応で合成したα-アミノニトリルのジアステレオマー混合物は,結晶状態で温めると結晶の接触界面が局部的に融解し,その融解相で一方のジアステレオマーへのエピ化と他方のジアステレオマーの結晶成長が同時に起こり,やがて純粋なジアステレオマー結晶を与える。このような単一ジアステレオマーへのエピ化反応が,室温付近の温度でも結晶混合物をメタノール蒸気と接触させると容易に進行することを明らかにした。 2.ビナフタレンジカルボン酸アミドの光学分割における誘電率制御分割(DCR)現象の分子機構の解明 ラセミ体の1,1'-ビナフタレン-2,2'-ジカルボン酸と(S)-1-フェニルエチルアミンのモノアミドを再結晶する際に,溶媒の誘電率を変化させると,晶析するジアステレオマーが変化するDCR現象が起こる。この際,溶媒の種類や温度が晶析する塩のジアステレオマー過剰率に影響を与えることを明らかにした。また,溶媒の誘電率を除々に変化させると,溶液中での分子の会合状態が不連続に変化し,その付近で晶析するジアステレオマーの選択性が逆転すること,溶媒分子の結晶への取り込まれやすさが溶媒の誘電率により変化することを見出し,これらの知見に基づいてDCR現象が起こるメカニズムを考察した。 3.アミノ酸の光学分割の誘電率制御の可能性の検討 2.の検討の過程で,ロイシンを(S)-1-フェニルエタンスルホン酸を分割剤としてジアステレオマー塩形成法により光学分割する際にも,DCR現象が起こることを見出した。
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