2009 Fiscal Year Annual Research Report
トリアゼン部位の脱窒素過程を鍵とする環境調和型含窒素ヘテロ環構築反応の開発
Project/Area Number |
21655033
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 正浩 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (20174279)
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Keywords | 有機合成化学 / 触媒反応 / 環化反応 / 不斉反応 / ニッケル / アレン / ベンゾトリアジノン / イソキノロン |
Research Abstract |
含窒素ヘテロ環式化合物の重要性は、医薬、農薬を始めとする生物活性物質、近年注目を集めつつある機能性材料の構造を一見するだけで自ずと明らかである。それゆえ、これらの分野の発展は今後どのような合成手法が開発されるかにかかっていると言っても過言ではない。我々は、含窒素ヘテロ環式化合物の新合成手法の開発を目指し研究を行っている。その過程で既に、ニッケル触媒存在下、ベンゾトリアジノンとアルキンからイソキノロンが得られることを見出している。本反応は、ベンゾトリアジノンの窒素-窒素単結合間にニッケル(0)が挿入し、次いで窒素分子が脱離して含窒素メタラサイクル中間体を与える。これにアルキンが挿入し、続いて還元的脱離によってイソキノロン誘導体が生成する。熱力学的に安定な窒素分子が脱離することが反応の推進力に寄与しているものと考えられる。今回、アルキンのかわりにアレンを作用させたところ、アレンが位置選択的に挿入したジヒドロイソキノロンが得られることを見出した。さらに、不斉配位子としてi-Pr-Foxapを用いるとエナンチオ選択的に進行し、高い鏡像体過剰率でジヒドロイソキノロンが得られた。次いで、我々は1,3-ジエンやアルケンでも配位子を適切に選択することで脱窒素挿入反応が進行し、良好な収率で対応するジヒドロイソキノロンが得られることを見出した。そこで不斉配位子を用いて反応条件を再検討し、これらの不斉化も実現する計画である。また、ベンゾトリアジノンのカルボニル基をスルホニル基にかえたベンゾチアトリアジン-1,1-ジオキシドを用い、脱窒素アレン挿入反応を試みたところ、反応は良好に進行してジヒドロベンゾチアジン-1,1-ジオキシドが得られた。さらに、本反応の不斉化にも成功した?。
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