2009 Fiscal Year Annual Research Report
フタロシアニンの凝集力を組み込んだ機能性分子ブロック
Project/Area Number |
21655036
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Research Institution | Nagoya Industrial Science Research Institute |
Principal Investigator |
融 健 Nagoya Industrial Science Research Institute, 研究部, 上席研究員 (00163957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 哲男 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (40293302)
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Keywords | フタロシアニン / 分子化学 / フッ素 / フルオロアルコキシ基 / クリックケミストリー |
Research Abstract |
今年度は研究目的に従い,風車型フタロシアニンの合成に着手した。風車型フタロシアニンは二枚貝型フタロシアニンと同様,その凝集状態と構造について非常に興味深く,Torresらを中心に数々の報告がなされている。Torresらはベンゼンまたはトリアジンを中心とするフタロシアニントリマーの合成や,ベンゼン環にフタロシアニンが全置換されたフタロシアニンヘキサマーの合成を報告している。当研究室ではクリック反応を利用してトリフルオロエトキシ置換されたフタロシアニンダイマーを合成し,その分光学的性質と凝集挙動の制御について報告した。そこで我々はさらなる応用研究を視野に入れ,トリプルクリック反応によりベンゼンを中心とするトリフルオロエトキシコーティングされたフタロシアニントリマーの合成に着手した。この化合物は1, 3, 5-トリス(アジドメチル)ベンゼンに末端アセチレンを有するフタロシアニンをトリプルクリック反応によって合成し78%収率で得ることに成功した。比較としてtert-ブチルフタロシアニントリマーも同様に合成し,64%収率で得ることに成功した。tert-ブチル置換体とトリフルオロエトキシコーティング体のフタロシアニンの凝集形態を考察するために,UV-Visスペクトルならびに蛍光スペクトルの測定を行った。トリフルオロエトキシコーティング体はQ-bandの強い吸収と蛍光発光を示したことから,フレキシブルなスペーサーを有していながら分子内・分子間いずれにおいても凝集作用を示さない風車型分子であることが示された。一方,tert-ブチル置換体については吸光係数が小さく蛍光消光することから,凝集は解消されないことを示した。今回の研究により,トリフルオロエトキシ基の効果によってフタロシアニン同士のπ-π相互作用を強く阻害し凝集抑制に有用であることを見出した。
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Research Products
(1 results)