2009 Fiscal Year Annual Research Report
膜融合制御に基づく機能性超分子マイクロリアクターの設計
Project/Area Number |
21655038
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒木 孝二 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授 (40134639)
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Keywords | 膜融合 / マイクロリアクター / ベシクル / 水素結合 / 超分子 |
Research Abstract |
マイクロリアクターは、微小空間での基質の反応で目的物を効率よく生成させ、分離回収が容易なシステムとなることから注目を集めている。水素結合は方向性のある強い分子間結合でありながら、非共有結合であるため可逆性を持つ。本研究は、安定性と可逆性という水素結合が示す特徴を最大限に引き出すことが可能な超分子ポリマーを用い、膜融合制御に基づく機能性超分子マイクロリアクターを設計・開発することを目的とする。本年度は以下の成果を得た。 1.水素結合性超分子マイクロカプセルの評価、外部刺激による膜融合誘起とベシクル合一 水素結合性マイクロリアクターの先導例として、グアノシン誘導体を用いて蛍光プローブを内包した多層膜マイクロカプセルを作成し、水素結合性マイクロカプセルの基質内包能についてさまざまな環境下で評価した。その結果、pH、温度、イオン強度などの幅広い条件下でカプセルは一定の形状や大きさ保ち、カプセルの融合や崩壊、蛍光プローブの漏出はなかった。一方、これらの条件を調節してカプセルの崩壊を誘起し、内包基質を放出させることに成功した。またマイクロカプセルの分散溶液中に非イオン性界面活性物質を加えたところ、カプセルの融合が確認された。以上より、水素結合性超分子マイクロカプセルがマイクロリアクターとしての基本的な要求を満たしており、適切な外部条件によって「安定性」「可逆性」という水素結合の特性を制御可能なことを実証した。 2.新規水素結合性超分子膜の作成と機能評価 二次元水素結合ポリマーを形成できるスノファミド系化合物を中心として、これまでに確立した水素結合部位と保護・被覆部位とのサイズフィットという分子設計指針に従って、水素結合性マイクロカプセルを作成することができた。今後、作成条件や機能性等についてより詳細に検討していく。
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