2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体内環境耐性と応答性を兼備したリピド被覆型高分子ミセルドラッグ
Project/Area Number |
21655039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片岡 一則 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (00130245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 伸宏 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10372385)
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Keywords | ドラッグデリバリー / 高分子ミセル / リポソーム / がん治療 / MRI |
Research Abstract |
ポリエチレングリコール-ポリグルタミン酸(PEG-P(Glu)ブロック共重合体の合成を行い、制がん剤シスプラチン(CDDP)と反応させることによって、粒径34nmのCDDP内包ミセルを調製した。次に、リン脂質とコレステロールをベンゼン凍結乾燥したフラスコ中にCDDP内包ミセル水溶液を加え、撹拌と超音波処理を行った後、エクストルーダーでサイジングを行うことによって、CDDP内包ミセルが内包されたリポソーム(リピド被覆型高分子ミセル)を調製した。調製したリピド被覆型高分子ミセルの動的光散乱を行った結果、粒径は99nmであり非常に狭い粒径分布(polydispersity index=0.102)を有することが明らかになった。次に、リピド被覆型高分子ミセルの機能評価として、生理食塩水中におけるCDDPのリリース速度を評価した。その結果、リピド被覆型高分子ミセルによって、ミセルからのCDDPのリリースが抑制されることが明らかになった。この結果より、リピド被覆型高分子ミセルの構築によって、CDDP内包ミセルの血中での安定性を高めることができるものと考えられる。一方、リピド被覆型高分子ミセルの新しい展開として、MRI造影剤であるGd-DPTAを内包した高分子ミセルを内包したリポソームを構築した。これまでにGd-DPTA内包ミセルは、Gd-DPTA単独と比較して20倍のT1緩和能を有することが明らかになっていたが、生理食塩水中ではミセルの崩壊によってT1緩和能が著しく減少することが問題であった。そこで、本研究では、Gd-DPTA内包ミセルを搭載したリピド被覆型高分子ミセルを構築したところ、生理食塩水中においても緩和能が変化しないことが明らかになった。本システムは、微小がんの検出のためのナノ粒子型MRI造影剤としての応用が期待される。
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