2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21655049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森崎 泰弘 京都大学, 工学研究科, 講師 (60332730)
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Keywords | クランエーテル / 光学活性 / 不斉リン原子 / ホストゲスト / 遷移金属配位 |
Research Abstract |
本年度の研究では、光学活性ビスホスフィンを出発原料として官能基化を行い、これまでに合成に成功した光学活性ホスファクラウン「18-ジホスファクラウン-6」に加えて、環サイズの異なる「15-ジホスファクラウン-5」および「21-ジホスファクラウン-7」の合成に成功した。 得られた光学活性18-ホスファクラウン-6ならび15-ホスファクラウン-5、21-ホスファクラウン-7誘導体を遷移金属錯体の支持配位子として用い、不斉反応への応用を試みた。すなわち、リン原子を保護しているボランを1, 4-diazabicyclo[2.2.2]octane(DABCO)のような有機強塩基により除去後、PdCl_2(cod)錯体と反応させることにより、対応するホスファクラウン-パラジウム錯体を得た。なお、パラジウムはクラウン環の外側でリン原子と配位していることがX線結晶構造解析より明らかになった。 得られた錯体を触媒として用い、ホウ素化合物のα,β-不飽和ケトンへの不斉1, 4-付加反応を試みた。 その結果、PdCl_2(18-ホスファクラウン-6)を用いた場合、フェニルボロン酸がシクロペンテノンへ効率よく1, 4-付加し、対応する1, 4-付加体が収率90%、R体が鏡像異性体過剰率85%で得られることが分かった。一方、PdCl_2(21-ホスファクラウン-7)を用いた場合、生成物の収率は高いものの、鏡像異性体過剰率は約30%に激減した。錯体のX線結晶構造解析結果から、両者のリン原子上のフェニル基の立体配座が異なり、基質であるシクロペンテノンの面選択制に大きな影響を与えていることが分かった。
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