2010 Fiscal Year Annual Research Report
複数の糖を含む両親媒性化合物によるミセルとベシクルの開発と細胞認識特性の検討
Project/Area Number |
21655063
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
坂本 英文 和歌山大学, システム工学部, 教授 (10192593)
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Keywords | ナノバイオ / 糖化学 / 原子移動重合 / 自己組織化 / 生体認識 / 薬剤送達システム / ベシクル / ミセル |
Research Abstract |
本研究では複数の糖に長鎖アルキル基を備えた両親媒性化合物を合成してミセルおよびベシクル、ならびに薄膜を作製し、細胞表面との親和性、タンパクと糖の相互作用について検討するとともに、これらを利用した薬物送達システム(DDS)や生体適合性薄膜などに応用するための基礎研究を行う。さらに、これらの集合体の生体細胞認識能と作用特性について検討することで、動物細胞に直接アプローチできるDDS用の薬剤キャリアや、人工細胞としての応用に供することを最終目的とする。 本年度は具体的な標的細胞として肝臓表面細胞に着目して、細胞表面に選択的に認識されることが知られているガラクトースを親水性部分とする両親媒性分子の合成をすすめ、ガラクトースに分岐した2つの長鎖(オクタデシルオキシメチル基)を有する分子を得ることに成功した。具体的には次のようにして合成を行った。予め、トリメチロールエタンを出発原料としてベンズアルデヒドによる2つの水酸基のアセタール保護、残りの水酸基の塩化ベンゾイルによるベンゾイルエステル保護、2つの水酸基のアセタールの脱保護、1-ブロモオクタデカンによる2つの水酸基のエーテル化、その後の脱ベンゾイルによる脱保護を経て1,3-ビス(オクタデシルオキシ)-2-ヒドロキシメチル-2-メチルプロパン(OD_2MOH)を合成した。並行して、ガラクトースの5つの水酸基に塩化ベンゾイルを作用させてエステル化し、1-位のアノマー炭素を臭素置換した後、上記のOD_2MOHとの反応により1-位がこの化合物で置換されたガラクトースのテトラベンゾイルエステルを得た。最後に、メタノール中で塩基であるナトリウムメトキシドにより加水分解して目的物を得た。この化合物は、親水性部位と疎水性部位のかさ高さのバランスが取れているため、ベシクルの作製を試みている。
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Research Products
(13 results)