2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21655072
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
平本 昌宏 Institute for Molecular Science, 分子スケールナノサイエンスセンター, 教授 (20208854)
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Keywords | 有機太陽電池 / p-i-n接合 / 共蒸着i層 / ナノ構造制御 / フタロシアニンウィスカー / キャリア輸送ハイウェー / TEM観察 / πスタッキング |
Research Abstract |
本年度は、フラーレン(C_<60>):フタロシアニン(Pc)共蒸着膜中のキャリア輸送ハイウェーの存在を明らかにできた。 共蒸着i層のナノ構造は、p-i-n接合型有機太陽電池の性能に大きな影響を及ぼすため、5.3%の高効率を示した膜厚1ミクロンC_<60>:Pc共蒸着i層を組み込んだセルの断面TEM観察を試みた。その結果、共蒸着層内に直径20-30nmのPcウィスカーが電極に垂直な方向に形成され、これがC_<60>に取り囲まれていることが分かった。また、Pc中のπスタッキングは電極に対して垂直になっており、電極に向かってπ電子系を通じて、まっすぐにホールが輸送できる理想的な配列になっていることが分かった。すなわち、Pcウィスカーは、ホール輸送ハイウェーとして機能すると考えられる。このような、理想に近い構造が形成されていることが高効率の大きな原因である。 ただ、上記の理想構造は、ITO/Pc/Pc:C_<60>(共蒸着1ミクロン)/C_<60>/AgセルのAg電極側の半分の500nm程度にしか形成されておらず、光照射側となるITO電極側では、πスタッキングがホール輸送に不利な、電極と平行な方向に形成されていることが分かった。 共蒸着i層全域に渡って、上記のキャリア輸送ハイウェーを形成できれば、効率の本質的向上につながる可能性がある。
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Research Products
(8 results)