2009 Fiscal Year Annual Research Report
高効率太陽光発電のための量子効率200%近赤外発光材料の開発
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21655076
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田部 勢津久 Kyoto University, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (20222119)
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Keywords | 量子切断 / 蛍光体 / 太陽光発電 / イッテルビウム / 希土類 / 近赤外光 / エネルギー移動 / 光子 |
Research Abstract |
本年度は、Tb^3+濃度固定、Yb^3+濃度を系統的に変化させた組成のTb^3+-Yb^3+:共添加ガラスを、溶融急冷法によって作製し、蛍光スペクトル、励起スペクトル、蛍光寿命の測定を行った。発光・励起スペクトルにおいて、378mmレーザーダイオードによるTb^2+の4f準位励起により、Tb^3+の^5D_4-^7F_J遷移による可視発光とYb^3+の1mm発光が観測され、Yb^3+発光の励起スペクトルにおいては、Tb^3+の^5D_J, ^5G_J, ^5L_J準位の励起ピークが観測された。これらの結果より、Tb^3+からYb^3+へのエネルギー移動が証明された。一方、Tb^3+からYb^3+へのエネルギー移動効率をTb^3+単独添加試料とTb^3+-Yb^3+共添加試料の蛍光寿命を用いて算出した。Yb^3+濃度が増加するにつれて、エネルギー移動効率は増加し、Yb^3+濃度が20%近くなると、エネルギー移動効率が50%近い値を示した。よって、理想的な量子切断下においては、1光子から2光子に変換されるので、量子収率が100%を超える可能性があることが示唆された。長期信頼性や効率でも優れた結晶Si系太陽電池の分光感度ピークは波長約1mmにあるので、可視紫外光を吸収し、高効率で1mmに波長変換する材料において、量子収率が100%を超える可能性を示せたことは意義深い。現時点では、励起吸収されたフォトンがすべて量子切断を介したエネルギー移動によって、Yb^3+の1mm発光に寄与するまでは至ってないが、今後、より効率の高い近赤外発光材料の開発のためには消光原因を解明することが重要である。
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