2009 Fiscal Year Annual Research Report
液液界面を利用した新しい物質合成パラダイムの構築と機能材料への応用
Project/Area Number |
21655078
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤原 忍 Keio University, 理工学部, 准教授 (60276417)
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Keywords | 液相合成 / 層状水酸化亜鉛 / 複合金属酸化物 / インターカレーション / 有機-無機ハイブリッド / ニオブ酸ナトリウム / 結晶成長 / 形態制御 |
Research Abstract |
液液2相系での無機合成を目指して、2種類の化合物群を調査した。まず、亜鉛を含む層状水酸化物では、安息香酸、ヘプタン酸、デカン酸の3種類の非水溶性有機分子を有機相に、亜鉛イオンおよび尿素を水相に溶かして液液2相系を形成させ、界面での反応により析出する固体の生成条件、組成および形態を調べた。水相に析出したそれぞれの固体を分析すると、有機分子が水酸化亜鉛の層間にインターカレートされていることがわかり、固体の収率は70%以上と非常に高いものであった。また、形態は有機分子の種類によって変化することがわかり、これらを加熱すると形態を維持したまま酸化亜鉛に変換することができた。次にニオブを含む化合物の液液合成を目指した。金属源としてニオブエトキシドを選択して有機相に溶かし、水相との液液界面から析出したニオブ化合物のアモルファス相を700℃という比較的低温下で焼成することで、斜方晶系の酸化ニオブが得られることがわかった。次に、2つの金属イオンを含む複合酸化物を作るため、水相に種々のナトリウム塩を溶かした。すると、界面から析出したアモルファス相にはナトリウムイオンが含まれ、これを焼成するとニオブ酸ナトリウム(NaNbO_3)が生成することがわかった。 さらに、ナトリウム塩の種類、水相のpH、有機相へのキレート剤の添加などの操作を行うとアモルファス相および結晶相の形態を制御できることを見出した。以上のことから、液液合成法を用いると従来では得られなかった化合物やその形態を作り出せることを実証することができた。
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Research Products
(6 results)