2010 Fiscal Year Annual Research Report
液液界面を利用した新しい物質合成パラダイムの構築と機能材料への応用
Project/Area Number |
21655078
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤原 忍 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (60276417)
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Keywords | 液相合成 / 層状水酸化亜鉛 / 複合金属酸化物 / インターカレーション / 有機-無機ハイブリッド / ニオブ酸ナトリウム / 結晶成長 / 形態制御 |
Research Abstract |
混ざり合わない有機溶媒と水を用いた液液2相系での無機合成の展開として、3d遷移金属水酸化物をベースとする有機-無機ハイブリッドの合成および反応メカニズムの解明、4d遷移金属化合物であるNaNbO_3の形態制御、層状希土類水酸化物系の合成および希土類酸化物ナノシート材料の創製に取り組んだ。まず、長鎖カルボン酸を水酸化物層にインターカレートしたハイブリッド材料の反応メカニズムを系統的に調べたところ、有機相に溶かすカルボン酸の初期濃度、有機相-水相間でのカルボン酸の分配係数および水相でのカルボン酸の解離定数が全体の反応を支配している要因であることがわかった。さらに、これらの反応条件を制御すると液液2相系で新たな構造を持つ層状水酸化金属塩が高収率で得られ、その析出反応を優先的に基板上で進行させると2次元ナノシート構造の集積体である膜を作製することができた。これを熱処理するとナノ構造金属酸化物となり、擬固体型色素増感太陽電池の光電極として作用することがわかった。NaNbO_3では、界面反応により結晶性のロッド型前駆体が得られることを見出し、これを熱処理すると形態を維持したNaNbO_3が生成した。希土類化合物については、層状水酸化イットリウム化合物を重点的に調べた結果、液液2相系での反応条件の制御により特有の構造を持つ新たな層状化合物を合成できることがわかった。以上のことより、2相系の無機合成で今までに知られていない化合物を合成でき、その熱分解によって特有の形態を有する金属酸化物を得ることに成功した。
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Research Products
(10 results)