2011 Fiscal Year Annual Research Report
液液界面を利用した新しい物質合成パラダイムの構築と機能材料への応用
Project/Area Number |
21655078
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤原 忍 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (60276417)
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Keywords | 液相合成 / 複合金属酸化物 / 層状金属水酸化物 / インターカレーション / 結晶成長 / 形態制御 / バナジウム / 蛍光体 |
Research Abstract |
不混和な有機溶媒と水の組合せを用いた液液二相系での材料合成を行った。特に、3d遷移金属を含む複合酸化物の合成、ニオブ酸をベースとするペロブスカイト化合物の合成、希土類水酸化物の創製と発光材料への応用に取り組んだ。まず、3d元素のバナジウム(V)に注目し、V^<5+>イオンの溶液中での挙動を調査し、蛍光体として知られるBa_2V_2O_7の合成を試みた。2種類の原料(NH_4VO_3およびVO(OC_2H_5)_3)を用い、pHやバナジウム濃度を変化させて生成物の違いを調査したところ、有機相にVO(OC_2H_5)_3を溶かし水相にBa^<2+>イオンを導入したとき、界面反応と水溶液中での溶解・再析出反応が進み、室温付近でBa_2V_2O_7が得られることがわかった。得られた試料は紫外線照射下で400~700nmにわたる幅広い可視発光を示した。次に、ニオブ酸について、室温で生成するロッド型の化合物をヘキサニオブ酸ナトリウム15水和物と同定し、その生成メカニズムを解明した。また、600℃までの昇温によるNaNbO_3への変化過程において組成的に過剰なNa^+がNaOHおよびNa_2CO_3を形成することを見出し、これらの副生成物を水洗処理により取り除くことで、単相のペロブスカイトNaNbO_3を得ることに成功した。希土類水酸化物については、層状水酸化イットリウムへのインターカレーション反応を一段階で完遂できるかどうかを調べた。その結果、安息香酸、セバシン酸およびラウリン酸といった水に溶けにくいカルボン酸を親水性の水酸化物層に挿入できることがわかった。さらに、反応条件と得られる化合物との関係を詳細に検討し、カルボン酸の初期濃度が最も重要な因子となることがわかった。Y^<3+>の一部をEu^<3+>で置き換えた場合、紫外線照射により赤色発光が観測され、安息香酸を挿入した試料ではアンテナ効果によって特異的に発光強度が高くなる現象を見出した。
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Research Products
(8 results)