2009 Fiscal Year Annual Research Report
面内磁場を用いた永久スピン旋回状態の検出と電界制御
Project/Area Number |
21656001
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新田 淳作 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (00393778)
|
Keywords | Rashbaスピン軌道相互作用 / Dresselhausスピン軌道相互作用 / 永久スピン旋回状態 / 面内磁場 / スピン緩和 |
Research Abstract |
方向の異なるスピンの回転演算子は交換しない。しかしながらスピンの回転軸が-軸になると交換関係が成立し、スピンは良い保存量となる。Rashba(R)-スピン軌道相互作用(α)とDresselhaus(D)-スピン軌道相互作用(β)が等しい条件では有効磁場の方向が一軸性となりスピン緩和が抑制される。われわれは、面内印加磁場とスピン軌道相互作用の作る有効磁場を組み合わせることにより、準一次元細線の磁気コンダクタンスの面内磁場角度依存性からR-スピン軌道相互作用とD-スピン軌道相互作用の比α/βを求めることが可能であることを提案してきた。さらに、ゲート電界によりR-スピン軌道相互作用αを制御すれば、α=β状態にできることから、散乱が生じてもスピン緩和の抑制された永久スピン旋回状態が実現できる。 H21年度はα=βの実現に適したInGaAs系量子井戸の設計を行い、D-スピン軌道相互作用の高次の効果が無視できる[110]方向の細線の作製条件を確立した。また、αのゲート電圧による変調の割合を大きくするため、Atomic Layer Deposition(ALD)を用いたゲート絶縁層の作製をほぼ確立し、面内磁場の回転角度依存性が測定できるシステムを構築した。本測定システムを用いて、弱反局在効果を測定した結果、面内磁場の角度依存性が観測された。また、弱反局在効果が最も弱くなる角度からα/βを求めた結果、理論から予測される範囲であることが確認され、提案する方法の有効性が確認された。α/βをより正確に求めるためH22年度は、弱半局在効果を抑えたより細い準一次元細線を作製し、ゲート電圧により制御されたα=βの永久スピン旋回状態の実現を試みる。
|
Research Products
(5 results)