2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21656003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
笹川 崇男 Tokyo Institute of Technology, 応用セラミックス研究所, 准教授 (30332597)
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Keywords | カーボン素材 / ナノ素材 / 単結晶 / 第一原理計算 / 光学特性 |
Research Abstract |
フラーレンやカーボンナノチューブを凌駕する第3の炭素系ナノ材料とすべく、ダイヤモンド・ブロックで構成される分子・クラスター群-ダイヤモンドイド-について、そのナノサイズ・立体形状・対称性などを反映した固有な量子特性や超機能を発掘し、工学的応用への可能性を探ることを目的に、理論と実験の双方を活用した多角的な機能開拓を行った。 理論的アプローチとしては、ダイヤモンドイド結晶の電子機能について、密度汎関数理論に基づく第一原理電子状態計算を行い、特に光学的性質および関連する誘電特性について詳細に明らかにした。光学特性について理論計算からの発見として特筆すべきは、バルク・ダイヤモンドの間接遷移型電子バンド構造が、ダイヤモンドイドでは直接遷移型に変化すること、そしてそのエネルギーギャップの大きさを、ダイヤモンドイドの大きさの選択で調整可能な点である。一方で実験的アプローチとしては、(1)光学特性などの評価に供することのできる高度に精製した試料の準備、(2)大型で良質な単結晶試料の作製、(3)熱物性などの基礎物性の評価について重点的に取り組んだ。(1)と(2)については、エネルギー投入が小さく有機溶剤も使用しない環境負荷の小さな方法によって、精製と単結晶化を同時に行うことのできる専用の装置と手順を開発した。これら研究成果については、学会での口頭発表および学術雑誌での論文発表を行ったが、当該分野の研究を加速するものとして注目を集めることとなり、新聞報道もなされた。
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