2009 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度電気容量測定法の開発による単分子デバイスへの展開
Project/Area Number |
21656011
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
新井 豊子 Kanazawa University, 数物科学系, 教授 (20250235)
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Keywords | 走査型プローブ顕微鏡 / 単分子電気容量 / ナノ力学 |
Research Abstract |
本研究では、走査型プローブ顕微鏡(SPM)探針先端と試料表面の間に挟持されている1分子の電気容量の変化をナノ力学的に超高感度で精密に測定して、1分子の電子状態の変化を解析する手法を開拓し、単分子の力学的・電子的特性を活用したデバイス創製を目指している。 1.計測システムの改良:ナノ空間における電気容量は、トンネル障壁があり、トンネル電流検出限界以下の領域と、トンネル領域、さらに近づいてトンネル障壁が崩壊している領域に分けて考察する必要があることが分かってきた。そのために、探針試料間相互作用力、トンネル電流、散逸エネルギーを同時に、徐々に距離を変えながら精度良く計測する必要がある。温度変化に対して安定で、励振共振周波数の帯域が広く検出感度も高い振動制御PLL回路を用いた計測システムを構築した。 2.探針調製:探針-試料間の力学的電気的特性を精確に評価するうえで最も重要なことは、使用する探針の調製である。シリコン探針を加熱しながら探針先端にプラスの高電界をかけ、表面原子を動かして、探針を精鋭化する手法を開拓した。また、収束イオンビーム(FIB)を利用して探針を根本から先鋭化させるノウハウも確立した。 3.試料調整:試料の清浄性を保つためには、同じ超高真空チャンバー内で、試料作成、計測ができることが望まれる。そこで、SPMを持つ超高真空チャンバーに、有機分子を蒸着可能な、反応チャンバー(超高真空仕様)を、ゲートバルブを介して、増設した。この反応チャンバー内で、両末端にアミノ基を有するターフェニル分子(DAT)をSi(111)7x7と(001)2x1表面に真空蒸着し、STMにより、表面吸着を確認した。また、デバイスへの応用を考えて、ITO基板への両末端にアミノ基を有するπ共役系分子の吸着について、北陸先端科学技術大学院大学村田教授との共同研究で検討している。
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