2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21656027
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梶原 健司 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (40268115)
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Keywords | 離散可積分系 / 離散ソリトン方程式 / 離散微分幾何 / τ関数 / 離散曲線 / 離散正則関数 / 不均一格子 / 双線形形式 |
Research Abstract |
本年度は,前年度までの離散可積分系に関する基礎的研究の成果を応用し,以下の成果を得た. (1)平面離散曲線の離散的運動の理論の構築 ユークリッド平面上の曲線のmodified KdV(mKdV)方程式で特徴付けられる運動理論の離散化に成功し,離散mKdV方程式による離散曲線の運動理論の定式化に成功した.また,τ函数を用いて曲線の新しい表現公式を構成し,それを利用してソリトン解やブリーザー解に対応する明示公式を与えた.最後に離散曲線のBacklund変換を構成し,τ函数による表現公式を用いて具体的な厳密解をいくつか提示した. (2)平面離散曲線の連続運動を記述するsemi-discrete mKdV方程式のτ函数 離散曲線の運動理論の連続極限を議論する際に現れるsemi-discrete mKdV方程式のτ函数と双線形構造を考察し,解に予期しなかった構造が現れることを明らかにした.このことはsemi-discrete mKdV方程式が単純なKP階層に属さず,principal chiral field方程式と同様の拡張を行った階層に属することを示唆する新しい結果である. (3)離散正則函数に対する基礎的考察:離散Schwarzian KdV方程式のτ函数と双線形構造 離散微分幾何の基礎方程式である離散Schwarzian KdV方程式を不均一格子上で考察し,そのソリトン型τ函数が離散2次元戸田格子階層のτ函数からの簡約で得られることを明らかにした.また,同時にパンルヴェ系のτ函数で記述される特殊解も構成し,例としてD_4^<(1)>型(パンルヴェVI方程式),(A_2+A_1)^<(1)>型(q-パンルヴェIII方程式)のτ函数を用いた解を提示した.最後の結果は,境界条件を調節することでAgafonovらによる離散冪函数に応用することが可能である.
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Research Products
(11 results)