2009 Fiscal Year Annual Research Report
水素をプローブに用いた新しい累積疲労損傷検出技術の開発
Project/Area Number |
21656028
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
駒崎 慎一 Muroran Institute of Technology, 大学院・工学研究科, 准教授 (70315646)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸野 豊 室蘭工業大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70150282)
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Keywords | 破壊 / 累積疲労損傷 / 非破壊評価 / 水素 / 格子欠陥 / き裂発生 / 原子炉圧力容器用鋼 / 昇温脱理分析 |
Research Abstract |
本研究課題では,繰返し応力負荷下での格子欠陥,すべり帯,転位セル組織の形成などからなる一連の累積疲労損傷のナノ・ミクロ的素過程を明らかにするとともに,それを定量的に評価するための"水素をプローブとした新しい疲労損傷検出技術"の開発を行う.平成21年度は,原子炉圧力容器用鋼を対象として,水素をトレーサーとして用いた累積疲労損傷検出・評価のための基礎検討を行った,疲労試験により完全両振りの繰返し負荷を加えた圧力容器用鋼を用い,表面き裂の観察を行った後に,水素チャージ後の水素放出特性に及ぼすひずみ範囲と繰り返し数の影響を水素昇温脱離分析により調査した.得られた知見をまとめて以下に示す. (1)き裂密度は繰返し数の増加とともに増加する.また,き裂密度とCoffin-Manson型パラメータΔε_p・N^<0.4>の間には良好な相関が認められ,き裂密度測定から材料の疲労履歴を推定することが可能である.なお,Δε_p・N^<0.4>がおよそ2以下では表面き裂は発生しない. (2)水素放出量C_Hは,寿命の初期より繰返し数の増加にともに増加する.C_Hとビッカース硬さの間に良好な関係があること,さらには400^Lと600^Lの焼鈍によってC_Hが減少することから,水素放出特性の変化は転位や空孔などの格子欠陥の性状変化に起因していると推測される. (3)Δε_p・N^<0.4><2の範囲においても,C_HはΔε_p・N^<0.4>の増加とともに増えることから,C_Hの測定よりΔε_p・N^<0.4>で表現されるき裂発生以前の累積疲労損傷を推定することが可能である.
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Research Products
(2 results)