2009 Fiscal Year Annual Research Report
固体壁面上のからみあい高分子ダイナミクスから発現する束縛ナノ構造の研究
Project/Area Number |
21656032
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北條 正樹 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (70252492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 康博 京都大学, 工学研究科, 助教 (80442929)
安達 泰治 京都大学, 工学研究科, 准教授 (40243323)
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Keywords | 機械材料・材料力学 / 高分子構造・物性 / 複合材料・物性 / レオロジー / 計算力学 / 粗視化分子動力学 / 界面 / PCNモデル |
Research Abstract |
本研究では,からみあい構造スケールにおける固体壁と高分子鎖の間の相互作用のモデリング,からみあい高分子鎖間の排除体積効果のモデリングを検討するとともに,これらのモデルの統合により,固体壁上の高分子のからみあい構造のダイナミクスモデルを構築することを目的としている.本年度の成果は次のように要約される. 1. プリミティブチェーンネットワークモデルにおいて,壁面境界モデルを構築した.ここでは,次の仮定をおいた. 1) 固液界面をもっとも単純な剛体壁面として扱う. 2) 壁面近傍のサブチェーンは,ガウス鎖として振舞う. 3) 壁面近傍のノードはバルクと同じ熱揺動力を受ける. 4) 壁面で反射されたサブチェーンの局所構造は,サブチェーンの代表的な緩和時間内に緩和される. 5) 壁面で反射されたノードの運動は,サブチェーンのラウス時間内において揺動力に支配される. 2. シミュレーションにより,以下の結果が得られた. 1) 壁面間隔が小さくなると,分子鎖の平均からみあい数毎の慣性半径の垂直成分は減少した.これは,壁面の分子鎖に対する拘束効果によるものである. 2) 壁面間隔が小さくなると,慣性半径の壁面平行成分と末端間ベクトルの緩和時間は増大した.一方,壁面に平行な拡散係数は減少した.これは,壁面近傍においてからみあいノードが生成され,その数が増大するためと考えられる. 3) 分子鎖の摩擦係数はからみあいノードの数に比例する.上述の壁面間隔に対する結果は,からみあいノード数が変化することにより説明できる.
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Research Products
(4 results)