2011 Fiscal Year Annual Research Report
水素環境下疲労損傷過程の原子間力顕微鏡微視的直接観察システムの構築と損傷機構解明
Project/Area Number |
21656035
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
菅田 淳 広島大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60162913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 昌彦 広島大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (70274115)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 疲労き裂発生 / すべり挙動 / 結晶方位解析 / 損傷機構同定 / 転位 / き裂進展挙動 / 屈曲挙動 |
Research Abstract |
水素環境下の疲労損傷過程を原子間力顕微鏡により微視的観察することを目的として,既設の疲労試験装置に変更を加えた.α-黄銅材料を用いて,微小切欠き底からの疲労き裂発生挙動ならびに初期進展挙動の観察を行った.比較的結晶粒寸法の大きい試料を作成することで結晶粒界の影響を排除し,離村的に状態での疲労き裂進展挙動に及ぼす繰返しすべりの影響を調べた.疲労き裂は初期段階ではシュミット因子の大きい優先すべり方向が作動し,その方向に沿って進展するものの,多重のすべりにより転位堆積等が生じ,すべり運動の拘束が起こり,き裂は停留する.その後,き裂は屈曲し進展を継続するが,その方向は必ずしもき裂先端の特異応力場の3軸応力性を考慮したすべり因子のみでは評価できないことがわかった.き裂前縁形状とすべり面との幾何学的相対関係が重要であり,き裂面の連続性ができる限り保たれる方向へ屈曲することが明らかとなった.また,本年度はα+β二相Ti-6Al-4V合金の疲労き裂発生・初期進展挙動をAFM逐次観察を行った.疲労き裂発生は比較的柔らかく結晶粒の大きいα相において起こること,また針状のα+β二相領域との粒界に達する場合には,多くの場合結晶粒界に沿って迂回して進展する傾向が認められた.一部,内部に進展する場合もあり,結晶粒方位差の影響があると考えられたが,今年度では検討ができなかった.また,すべり変形挙動に及ぼす水素の影響については,試験装置の作成に時間がかかり,また,測定法の確立ができないまま研究期間が終了した.今後,継続して研究を行い,屈曲挙動を含むすべり変形挙動に及ぼす水素の影響を検討していく予定である.
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Research Products
(2 results)