2009 Fiscal Year Annual Research Report
フェムトパルストレインビームを用いたコヒーレント振動制御による原子加工
Project/Area Number |
21656041
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 照剛 Osaka University, 工学研究科, 助教 (00334011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高谷 裕浩 大阪大学, 工学研究科, 教授 (70243178)
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Keywords | パルストレインビーム / レーザ加工 / フェムト秒パルス / コヒーレント振動 / 原子直接加工 |
Research Abstract |
フェムト秒レーザなどの超短パルスレーザを用いた加工では,レーザの強い電場により,自由電子の温度が,格子イオン温度よりも十分に高い非平衡状態(2温度状態)を経て,レーザ照射後に格子イオンの加熱が始まる.この時,非平衡状態において電子が,原子,分子から直接取り去られる原子の直接加工が実現すると考えられているが,原子加工を可能にする技術は未だ確立していない.本提案では,原子オーダーの加工を実現するためのパルストレインビームによるレーザ加工技術を新たに提案している.パルストレインビームは,複数のフェムト秒パルスが連結されるビームであり,数ピコ秒の間に複数のフェムト秒パルスを連結することも可能である. 本年度は,フェムト秒レーザを波形成形して数ピコ秒の間に複数のフェムト秒パルスが連結されるパルストレインビーム(1fs=10^<-15>s)を発生させる装置の設計を行った.装置の基本構成を以下に説明する.設計した装置では,光源にフェムト秒レーザを用いる.さらに,フェムト秒レーザを回折格子で分光し,分光されて空間的に広がったビームに,それぞれ場所毎に異なる位相差を与え,さらに,もう一度回折格子を用いて,分光したビームを一本のビームに重畳させる.この時,与えられた位相のずれが,複数のパルス間の時間差となって,フェムト秒単位のパルス幅を持つビームを連続して作り出すことができる.今後は,原子の直接加工を実現するため,格子振動から熱拡散に至るまでの数ps(1ps=10^<-12>s)に発現する非平衡状態[2]を制御することを目指す.
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