2010 Fiscal Year Annual Research Report
変則十字火炎による超高温燃焼の実現と非平衡燃焼学の開拓
Project/Area Number |
21656056
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 祐二 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (50303657)
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Keywords | 燃焼 / 高温燃焼 / 燃焼不安定性 / 非平衡状態 / 火炎伸張 / 拡散火炎 / 爆発 |
Research Abstract |
対向流バーナの改良版である「変則十字火炎バーナ」により断熱温度を超える燃焼状態を断続的に持続可能な新燃焼法を提案し,実用的には超高温燃焼の制御に関する知見を深めると共に,学術的には超高温科学,非平衡燃焼学という新しい学術領域の開拓を目指す.ここで示す「変則十字火炎バーナ」とは,2対のスロットバーナを対向させたもので,互いに燃料と酸化剤を流すことでガス成分の界面を4つ(十字に)形成するものである.このバーナでは火炎は界面に沿って十字に形成されるが,縦・横・奥行きの3方向には火炎(=高温場が形成)されるので,それぞれの界面が交わる1点において断熱性の高い状況を作り出すことが可能である. 昨年度の状態では変則十字火炎の燃焼実験でも,数値解析で予測されるような不安定燃焼を明確に実現させることは困難であったが,本年度においては装置を改善して投入流量を増加させることで不安定状態を明確に再現することに成功した.不安定モードの不安定周波数を解析するためマイクロフォンによって得られる音の周波数解析を行ったところ,爆発現象時にはある特定周波数を発することが確認され,それが場の速度勾配に依存(単調に増加する)ことがわかった,これは前年度から実施している解析結果と定性的に同じであり,不安定現象の発生メカニズムを理解することに貢献した,不安定状態を支配する物理を探るため,LDVによる速度分布計測,数値計算結果の詳細な検討を重ね,一般的な不安定要因である火炎伸張によるものではないことを明確にし,大きな曲部における反応弱化による局所ダムケラー数の低下が爆発現象をもたらす要因である可能性を指摘した.これらの成果は,採択が極めて困難とされる国際燃焼シンポジウムで高評価で採択され,本研究の学術意義の高さが世界レベルであることを示した.現在,Combustion and Flameへの投稿を目指すべく鋭意原稿準備中である.
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Research Products
(5 results)