2009 Fiscal Year Annual Research Report
音波による圧力振動を利用した水蒸気輸送によるアクティブ調湿
Project/Area Number |
21656057
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
秋澤 淳 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (10272634)
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Keywords | 音波 / 除湿 / 圧力振動 / 水蒸気 / 物質移動 / 熱流体解析 |
Research Abstract |
本研究は内壁に吸着材が取り付けられた閉空間内の湿分を含む空気中に音波を加えることにより,空間内に発生する圧力振動を利用して湿分を移動させる原理の実証を目的としている.H21年度は吸着材を使わない条件で音波が管内湿度分布に及ぼす影響について実験的に調べるとともに,その実験結果を再現する数値シミュレーションを試みた. 円管内に相対湿度50%程度の空気を封入し円管長さに対して定在波を生ずる音波を加えたところ,円管末端部の湿度が上昇し,中央付近の湿度が低下する観測結果を得た.定在波により円管末端部の圧力振幅が最大になることから,物質移動は圧力振幅の分布から誘起されるものと予想されるが,そのメカニズムはまだ明らかでない.この実験により,音波による圧力振動が物質移動につながることが示された. 水蒸気の移動と空気の圧力振動との関係を調べるために,数値流体シミュレーションツールFLUENTを用いて現象のモデル化を行った.片側が閉じた管内に空気と水微粒子の2成分が存在する系として表し,もう片方の端部にスピーカーのように振動する壁面をモデル化し,音波発生を表現した.その結果,微小ながら管内に実験で観測されたものと同じような水分の分布を生じる結果を得た.しかしながら,このシミュレーションには音響現象を再現できることを別途確認する必要がある. 以上より,吸着材がなくても音波を加えるだけで閉空間内に湿度分布を生じさせることが可能であることを見出した.今後はそのメカニズムを解明すること,および吸着材を入れた状態での湿分移動について調べることが課題である.
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