Research Abstract |
Siナノフォトニクス回路や,それを動的制御するためのMEMSアクチュエータは,通常のMEMS構造体よりも微細である。構造寸法のスケールダウンとともに表面荒れがデバイス特性に大きく影響してくる。そこで,表面粗さを原子レベルまで低減する技術により,Siナノフォトニクス回路に適した低損失光MEMS/NEMSデバイスや,極めて滑らかな曲面を持つ低損失なSi細線導波路を実現することを研究の目的とする。本年度は,Si深堀エッチング装置を用いて製作したSi貫通格子の壁面を利用して,様々な条件で水素アニール処理を行い,表面粗さが最も低減される条件を探った。さらに,昨年度製作した静電櫛歯アクチュエータやSi細線導波路デバイスの側壁荒れを低減するための適切な水素アニール処理条件を探った。以下に,成果の要約を示す。 1.Si貫通格子の側壁面を用いた水素アニール処理の条件出し 水素アニール処理前後における,Si表面粗さのガス種依存性(アルゴンと水素の混合ガス,純水素ガス,純アルゴンガス,超高真空),ガス流量依存性,圧力依存性をAFMやレーザ顕微鏡で定量的に評価し,どの条件で表面粗さが最も低減されるのか探った。さらにFFT解析により表面凹凸形状を空間周波数成分で表した結果,短周期の凹凸成分ほど平坦化されることを明らかにした。 2.櫛歯静電アクチュエータとSi細線導波路の水素アニール処理 Silicon on Insulator(SOI)基板から製作した,櫛歯静電アクチュエータとSi細線導波路を水素アニール処理した。このとき,微細構造の大まかな形状を維持したまま,側壁の凹凸を除去する条件を探った。バルクSiの表面凹凸を除去するときに用いた水素アニール条件では,構造自体が蒸発してしまった。アニール温度を900度程度に下げることで,側壁の凹凸を除去することができた。
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