2009 Fiscal Year Annual Research Report
アップコンバージョン効果によるジョセフソン接合アレーからのテラヘルツ光の発生
Project/Area Number |
21656090
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
入江 晃亘 Utsunomiya University, 工学研究科, 教授 (90241843)
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Keywords | ナノ構造 / テラヘルツ / 高温超伝導体 / マイクロ波・ミリ波 / 固有ジョセフソン接合 |
Research Abstract |
本研究は,小型の固体テラヘルツ光源の開発を目指し,ジョセフソン接合におけるアップコンバージョン効果を利用することにより外部から照射された汎用的な周波数帯の電磁波をテラヘルツ光に変換して固有ジョセフソン接合アレーから取り出すことを目的としており,H21年度は固有ジョセフソン接合によるテラヘルツ発振の可能性について調べ,以下の成果を得た. (1)高品質Bi_2Sr_2CaCu_2O_y単結晶を寸法の異なるメサ構造に微細加工し,電流-電圧特性を測定した結果,メサ寸法並びにメサを構成している接合数に関して系統的な変化が観測され,作製プロセスによる特性劣化がないことを確認した.作製プロセスによる特性劣化がないことは,特性の定量評価並びに素子設計の上で極めて重要であり,本研究では再現性の良い試料作製に成功している.(2)固有ジョセフソン接合により発振素子と検出素子を作製し,固有ジョセフソン接合からのテラヘルツ波発振の可能性を調べたところ,発振素子のバイアス電圧に依存して検出素子の出力電圧が変化することを観測した.これは,固有ジョセフソン接合のテラヘルツ波発振の可能性を示すものである.(3)熱揺らぎを考慮した磁気結合ジョセフソン多接合モデルにより高温領域における電流-電圧特性をシミュレーションにより検討した.その結果,液体窒素温度におけるゼロ電圧状態に戻るリターン電流は,熱揺らぎにより決定されていることを見出した.また,実験で観測された液体窒素温度における臨界電流とリターン電流の磁場依存性を再現することに成功した.
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