2011 Fiscal Year Annual Research Report
磁気共鳴画像診断装置MRIで励磁する癌温熱治療用小型共振回路の設計試作
Project/Area Number |
21656092
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
竹村 泰司 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (30251763)
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Keywords | 共振回路 / 磁気共鳴画像診断装置(MRI) / 癌温熱治療 |
Research Abstract |
癌の温熱治療(ハイパーサーミア)は、傷跡や副作用などの患者負担が軽減される治療方法として期待される。発熱インプラントとして提案する共振回路の構造は、コイルとコンデンサを閉接続しただけの単純な構造であり、小型化に適している。このコイルを鎖交するように交流磁界を外部から印加した場合、コイルには励磁磁界と同じ周波数の交流起電力が誘導され、交流電源を挿入したのと等価となる。この誘導起電力により回路には電流が流れ、コイルの残留抵抗が発熱する。インプラント式ハイパーサーミアにおける発熱体として、注射針で体内輸送可能なコアコイル共振回路の有用性を明らかにすることを目指した。今年度の研究実績は以下のとおりである。 (1)コアコイル共振回路はコイルの芯材に磁性体コアを用いた共振回路であり、磁界エネルギーの高い熱変換効率が期待される。同じ励磁条件の下では、空芯コイル共振回路の温度上昇は1.7℃であったのに対して、コアコイル共振回路は42℃と、約25倍の温度上昇を得られることを確認した。 (2)コアコイル共振回路の温度制御方法として、磁性体コアの移動による温度制御を提案した。磁性体コアの移動によるコアコイル共振回路の共振周波数の変化を確認し、回路の温度制御可能性を示した。 以上より、本研究で試作に成功したハイパーサーミア用共振回路インプラントは、18ゲージ注射針やカテーテルによる低侵襲な体内輸送が可能であるとの有益な結果を得た。さらに、温度制御が可能な共振回路構造を提案、その原理検証により、癌温熱治療用インプラントとしての有用性が明らかになった。
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