2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21656105
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
佐々木 実 豊田工業大学, 工学部, 教授 (70282100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 慎也 豊田工業大学, 工学部, 准教授 (70333888)
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Keywords | 赤外線センサ / 振動型 / 非線形バネ / 張力 / 薄膜トーションバー / 多結晶シリコン / 感度 / Q値 |
Research Abstract |
非冷却動作する高感度赤外線センサを、非線形性が強いねじりバネと組み合わされた振動子を利用して実現することが目的である。昨年度は、製作の歩留まりが低い上に、実現できたセンサとしては、高温部となる振動体中心部のみに金属膜がある構造ではなかったため、センサ評価に至らなかったことを報告した。 2011年度は全体を改良した。気相HFでの犠牲層エッチング(若干の条件修正は加えた)が難しいことを再確認し、完成された技術である、高濃度液体HFによる犠牲層エッチングの後にCO_2超臨界乾燥を行った((株)レクザムの協力)。最初は超臨界乾燥の歩留まりも高くなかったことから、デバイスデザインを修正したところ、ほぼ100%の歩留まりを得た。この後にステンシルマスクを利用して部分的にクロムおよび金蒸着を行った。結果、中心部のみに熱膨張率の高い金属膜を持つ、多結晶シリコン振動子を得た。この振動子に青色レーザ照射すると、共振周波数が59から65kHzに増加した。温度感度を見積もるため、基板温度を制御して上昇させたところ、共振周波数は30Hz/℃の変化を示した。共振は真空環境でQ値188であった。ピークが重なった際に分解できる周波数幅の議論を基準にすると約3℃が分解できるが、本デバイスは単一ピークを示すため、より細かな変化(0.1℃)が実際に測定できる。 なお、平行して進めていた、薄膜トーションバーの精密な変形計測と、バネの非線形性に関する理論式導出については、若干の修正も加えつつ学会発表を進めた。 更に、振動型赤外線センサの実現において重要となる、張力を持つ薄膜多結晶シリコンをマイクロミラーの軽量化に応用する研究については、製作が容易であったために進行が早く、2010年度の結果を学会や雑誌に発表した。 以上、理論や展開技術もあるが、振動型赤外線センサの製作と特性確認という重要な結果を得た。
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