2009 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子制御ネットワークの動的挙動の解明:制御論的理論解析と実験による検証
Project/Area Number |
21656106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原 辰次 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 教授 (80134972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 収 財団法人かずさDNA研究所, ヒトゲノム研究部, 部長 (20370926)
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Keywords | 遺伝子ネットワーク / 非線形制御 / 動的モデリング / 制御性能解析 / 細胞実験系 |
Research Abstract |
本研究は、遺伝子制御ネットワークの動的挙動の解明を目指した理論体系化と実験系構築に向けた基礎的研究であり、「非線形フィードック制御論に基づく系統的理論解析手法の提案」と「実験環境を望み通りに調整可能な単純モデルによる実験的検証」からなる。理論解析とその実験による検証を有機的に結びつけ研究目的を達成するために、研究テーマを大きく「理論解析」、「モデル化」、「検証実験」の3つに分けて行っている。それぞれに対する本年度の研究成果は、以下の通りである。 (1)理論解析:「一般化周波数変数を持つ動的システムモデル」に基づいて、非線形遺伝子制御ネットワークの平衡点周りの安定性解析を行い、その周期現象発現(リミットサイクル)の解析的条件を導出した。得られた条件は幾つかの規格化された生物学的パラメータ(無次元量)で表されており、それに基づいて定性的性質を明らかにした。 (2)モデル化:実験における計測データから画像処理を行い、単一細胞の動的モデルの構築とそのパラメータ同定法を提案した。現在、その有用性を検証中である。 (3)検証実験:バクテリアの各種リプレッサー蛋白質と蛍光蛋白質の融合タンパク質発現遺伝子の安定発現株を確立し、転写活性制御と蛋白質分解速度の制御のための仕組みを組み込んだ実験系のセットアップを行った。この実験系を用いて、転写活性、タンパク質分解速度と遺伝子産物蓄積量の平均値とそのゆらぎ量を計測する予備実験を行った。
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