2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体制御系におけるゆらぎの安定性と通信ネットワーク型分散制御システムへの応用
Project/Area Number |
21656107
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山本 茂 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (70220465)
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Keywords | 人間機械系 / ゆらぎ / 時間遅延微分方程式 / 確率微分方程式 |
Research Abstract |
本研究は,生体制御系にみられる「ゆらぎ」と「遅延」を活用する制御の構造を明確にし,「ゆらぎ」と「遅延」が本質的に避けられない通信ネットワークを介した分散制御系での新しい制御原理を導き,解析と設計の基礎を築くことが目的である. 平成23年度は時間遅延微分方程式の解の二乗モーメント漸近安定条件の導出(その証明)を完結させることができた.この時間遅延微分方程式は遅れを伴う生体の運動制御の最も簡単なモデルとして考えることのできるものである.得られた条件によって,時間遅延微分方程式の係数空間において,解が安定となる領域を表現することができ,適度な強度のゆらぎが加わることによって,時間遅延方程式の解の安定領域が拡大することが示された.この結果はスカラの時間遅延システムに限られているため,高次のシステムへの拡張を試みたが,研究期間内にその条件を導くことはできなかった.また,研究代表者がこれまでに扱っていた通信を介した遠隔操作法に得られた結果を適用することも検討を行ったが,十分な成果を得ることができず,学会発表までには至らなかった.なお,時間遅延微分方程式の解の二乗モーメント漸近安定条件は,計測自動制御学会の英文論文誌Journal of Control, Measurement, and System Integrationの2012年5月号(vol.5,no.3)に掲載が決定していることを付記する.
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