Research Abstract |
本研究では,擬リアプノフ関数を用いて,フィードバック制御による複数平衡点埋め込みにより,ヘテロクリニック軌道やリミットサイクルを発生させることにより,非線形系のリズムパターンの変調制御を行うことを目的としている。特に,非線形系への実例に適用可能であることを示すために,ホップ分岐を起こすCAM型光合成(crassulacean acid metabolism,ベンケイソウ型有機酸代謝)と呼ばれる乾燥環境に高度に適応した炭素代謝機構に適用し,数値シミュレーションにより,光合成制御としての変調制御手法の有効性を検証した.まず,定常解であるヌルクラインを入力変数の静的フィードバック系の形で設計することにより,複数平衡点をダイナミクスの中に埋め込む手法を提案した.ヌルクラインを用いた統一的な理論解析法を導出するまでには,至らなかったが,数値解により,リミットサイクルの振幅,周期,位相の調節が可能であるかどうかを検証した.その結果,外部二酸化炭素濃度を入力とする場合には振幅の調整に,また,光の強さを入力とする場合には,位相と周波数の調整に向いていることを確認した.さらに,このような制御性能には限界が存在し,その限界がホップ分岐を引き起こす点になっていることを明らかにした.さらに,非線形系の動特性の減衰・成長率を測る非線形フローと微分フローを入力データとする瞬時リアプノフ関数を提案し,光合成リズムに適用し,微分フローを用いた瞬時リアプノフ関数平衡点周りの減衰・成長率になっている一方,非線形フローを用いた瞬時リアプノフ関数は,任意に指定した点に対する減衰・成長率になっていることを明らかにした.
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