2011 Fiscal Year Annual Research Report
供用時微動計測に基づく構造健全度評価に向けた,減衰変化同定の精緻化
Project/Area Number |
21656113
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
山口 宏樹 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (50134474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 泰尚 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (90322023)
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Keywords | 構造工学・地震工学 / 維持管理工学 / 減衰同定 / ERA / エネルギー的減衰評価 / model updating |
Research Abstract |
土木構造物の損傷を供用中の微動モニタリングによって検出し構造健全度を評価する方法論を,減衰変化同定に特化して展開することを研究目的とした.平成23年度の研究概要と研究成果は以下のとおりである. 1.鋼トラス橋,鋼ランガー橋における供用時微動計測データを整理してデータベース化を行った.また,そのデータを用いて滅衰解析を行い.減衰パラメータの推定に当たっては,基礎データとなる実験同定や,理論解析に含まれる誤差の影響を抑えるために,入力データとなる同定モードの数を増やすことが望ましいことを示す等,計測の最小化に関する有用な知見を得た. 2.PC橋を想定し,腐食を生じさせたPCはり模型の打撃実験を行って,適切なフィルター処理後の自由振動波形から,振幅依存の滅衰を同定して腐食の影響を考察する等,減衰同定の精緻化に関する研究を深めた. 3.減衰を扱う際の基本となる実験モード解析において,ERAを利用したモード同定スキームに新たな安定性指標EMACを採用し,MACよりも安定した同定が可能となることを実橋供用時微動データに対して示す等,EMACを利用した滅衰同定の精緻化を行った. 4.鋼ランガー橋に対して,エネルギー的評価法における減衰のモデル化,減衰パラメータの推定法,振動数・モード形とモード減衰に対するmodel updatingを段階的に行う2段階法について検討し,鋼ランガー橋のモード滅衰比を良好に推定することが出来た.その際,娠動によっては減衰要因が変化し得ること,振動レベルに対して支承での減衰の有無は敏感に反応する可能性があること等が明らかとなった. 5.エネルギー的減衰解析を,損傷を有する鋼トラス橋の供用時微動データに対して適用したが,妥当な結果は得られていない.同定モード滅衰比の変動が要因の1つであるが,さらに多角的な検討が必要と考えられる.
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